音の癒しハンドブック

緩和ケアに役立つ:ぼんやりとした状態に穏やかに寄り添うご家庭での音楽活用法

Tags: 緩和ケア, 家庭介護, 音楽活用, ぼんやり, BGM

ぼんやりとした状態に音楽がどのように寄り添うか

ご家庭での介護において、大切な方が以前よりもぼんやりしているように見える、あるいは外界への反応が薄くなったと感じることがあるかもしれません。このような時、どのように関われば良いか戸惑われることもあるかと存じます。

音楽は、言葉によるコミュニケーションが難しくなった場合でも、心に働きかける可能性を秘めたツールです。音楽を穏やかに活用することで、ぼんやりとした状態にある方にも、心地よさや、かすかながらも外界との繋がりを感じていただける時間を提供できるかもしれません。

この記事では、ご家庭で手軽にできる、ぼんやりとした状態に寄り添うための音楽活用法をご紹介します。無理に活性化させることを目指すのではなく、あくまで穏やかに、その方のペースに合わせた関わり方を目的とします。

どのような音楽が適しているか

ぼんやりとした状態の方にとって、あまりに刺激的な音楽はかえって負担になる可能性があります。ここでは、心地よさや安心感を与えやすい音楽の種類をご紹介します。

重要なのは、その方にとって「心地よい」と感じられる音楽を選ぶことです。もし以前好きだった音楽をご存知であれば、それが最も適している可能性が高いでしょう。

どのように音楽を活用するか

具体的な音楽の活用方法としては、以下のような方法をご家庭で試すことができます。

  1. BGMとして小さく流す:
    • 最も手軽な方法です。お部屋全体に、意識するかしないか程度の小さな音量で音楽を流します。
    • 主張しすぎない音量にすることで、聴いている方に「聴かされている」という負担を与えにくく、空間に穏やかな雰囲気をもたらすことができます。
    • スマートフォンやタブレット、CDプレイヤー、小型のBluetoothスピーカーなど、ご家庭にある機器で十分です。
  2. 短い時間だけ聴かせる:
    • 長時間流しっぱなしにするのではなく、例えば10分や15分といった短い時間だけ音楽を流してみます。
    • 特定の時間帯(例えば、午後の比較的落ち着いた時間など)に習慣として取り入れるのも良いかもしれません。
  3. 反応を観察する:
    • 音楽を流している間のその方の様子を、注意深く観察してみてください。表情の変化、呼吸のリズム、体の小さな動きなど、普段と違う反応があるかもしれません。
    • もし、顔をしかめる、落ち着かない様子を見せる、手で払いのけるような仕草をするなど、不快そうな反応が見られた場合は、すぐに音楽を止めるか、別の種類の音楽に変えてみてください。反応がない場合でも、無理に続けず、様子を見ながら調整することが大切です。
  4. 一緒に傍らで聴く:
    • 介護する方が、ただ音楽を流すだけでなく、その方の傍らで一緒に静かに音楽を聴く時間を持つことも有効です。
    • 言葉は少なくても、同じ空間で同じ音楽を共有することは、安心感や繋がりを感じさせてくれる可能性があります。

実践する上でのヒントと注意点

まとめ

ぼんやりとした状態や外界への関心が薄れている時、音楽は言葉に代わる穏やかなコミュニケーションとなり、心地よい時間を提供してくれる可能性があります。クラシックや自然音、あるいは馴染みのある音楽を小さな音量で流し、その方の反応を注意深く観察しながら、無理のない範囲で日々の生活に取り入れてみてください。

これらの穏やかな試みが、介護される方にとって安らぎのひとときとなり、また介護されている方にとっても、大切な方との穏やかな時間を共有する一助となれば幸いです。